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  • 津田識義

第41回 真偽を見抜く価値

 今回は情報の真偽を見抜く価値について思っていることを書いていこうと思います。


 なぜかといいますと、本年1月1日の能登沖地震の際、非常に多くのガセ情報が飛び交い、とても心を痛めたからです。

 多くのガセ情報の中でも、最も小生が心を痛めたのは、偽りの住所で救助を要請する人、地震関連のキーワードを盛り込む人や過去の写真をあげて地震の被害者を装う人がおり、Xでのトレンドでも「デマ情報」が上位に入り込むような状態となっていたという事実です。

 本当に救助を必要としている人に対する救助の妨げになってしまう事は容易に想像がつくはずなのに、そのような投稿している輩が多数いました。

 理由は閲覧数を稼ぐためだそうですが、眩暈がしてしまいました。

 

 生成AIを身近に活用できる環境となり、例えば学校のレポートがAIのサポートを受けて作成したものなのか、オリジナルで人間の脳100%で作成したものなのかを見抜くには至難の技となってきており、今後ますますAIが発展し、量子コンピューターの時代になってさらに情報量が膨大になると、ますます真偽を見分けるのが難しくなる状況になってしまうのは容易に想像ができます。


 大変優秀な経営者のはずなのに、嘘で塗り固められた情報を見抜けずにほぼ役に立たない人間を採用してしまったり、M&A先の嘘の経営情報(主に財務)を見抜けずに会社の経営に大損失を与えてしまったり等々、経営においても大きな問題になる事があります。


 そのような嘘情報過多の現代が如何に歴史上稀にみる状況なのかを、以下3点で整理してみます。


 

(1)そもそも情報量が多すぎる

    一説によると現代人の1日に受け取る情報はなんと

 

【対江戸時代比】江戸時代の人の1年間に受ける情報と同等の量があるそうです。



【対平安時代比】平安時代の人の一生涯に受ける情報と同等の量があるそうです。



 人間の脳がこの30万年間でほとんど進化していないことを考えれば、不要なものはシャットダウンすることが脳を健康な状態にキープするには不可欠になるのではと考えます。デジタルデトックスが必要になると思われます。

 

(2)嘘の情報が多すぎる

上記(1)で見てきたように現代人が降れる情報量はあまりにも膨大です。その膨大の情報が真実であればまだ良いのですが、みずほリサーチ&テクノロジーズによるとインターネット上のフェークニュースの比率は約4 ~5割台にも上るそうです(日本はまだ比較的少なく3割台)。日常、脳に入る情報の約半数が嘘となると、半分はそもそも脳に入れてはいけないものです。


 

(3)巧みに情報操作をしようとする者がいる


 ロシアや中国や北朝鮮発の情報、特に軍事関連や政府発表の情報がとてもとてもそのまま信じがたいものが多々あります。

 某国で働いていた時、政府発表の経済関連のレポートは直観的におかしい!と思うものばかりでしたし、夏、道を歩いていると街頭の温度計が35℃以上あがらないという日常でした。それ以上になると学校が休みになると現地の人が笑いながら言っていました。もしくはどんな大事故でも死者が30名で打ち止めになる等皆が不信感の中で生活しているのです。

 

 では、日本ではそのような情報操作は皆無なのでしょうか。

何か近いものを感じるのが、政府中枢でまずいことがあると、別のニュースに目を向けるようにして、ニュース認知率を操作しようとしているのではと思うことがあります。


 

 以上3点が通常となっている中で、貴重な情報かつ真の情報は有益であり、その真偽を見抜ける力は非常に価値を持つようになるでしょう。

 食べ物であれば、これは命にかかわるからと見た目で判断したり、匂いを嗅いでみたり、ほんのごく少量で毒見をしたりと真剣に判別しているのに、情報に関してはあまり気にせず体内に取り入れてしまっている傾向があるのではないでしょうか。



今後価値が高まる”真偽を見極める力“をもつためのガイドラインを以下にまとめてみます。

 


【経営人財育成コースのクリティカルシンキング講座より】


①異質なものに触れる

 同性、同世代、会社、地域、国内、極端には自分だけなど、同質なものの中では、どうしても発想のパターンが限られ、常識などを疑うということをしなくなりやすいのです。

 つまり、自分で考えるということをしなくてもいい場合が多くなります。パソコンに向き合っているだけでは、テレビゲームに熱中しているだけでは、自分しか見えなくなります。

 異質なもの、つまり、自分にはない価値観や発想に触れることで、自分の見方・考え方の狭さや偏りなどが実感できます。 



②他者の立場、自分と対極の立場で考える

 相手が何を考えているのかを考えることは、他者理解の基本です。

 特に自分と対極にある立場で考えることは、より妥当な原因帰属や自己スキーマの偏りに気づくことにつながります。



③自分を振り返る

 心理学で良く使われる用語に「内観、内省」というものがあります。

 これは自分自身の心の動き・状態を省みること、自己観察することを意味しています。クリティカル思考を「振り返る思考」としたのもこの点を重視したからです。

 したがって、日記などをつけてその日の出来事や感じたことを振り返ってみることは有効です。また、「書くこと」は論理的かつ練られた思考を要求するので、方法論の面からも何かを書いてまとめることは有効です。



④なるべく本物に触れていること

 本物に触れていると、例えば絵画ですとなんかトーンが明るいなとか、時計ですと角があたるとか、秒針の進み方がっ違うとか、ブランドバッグですとロゴの位置や革の硬さが違うとか、偽物を目にすると少し違和感を覚えるようになります。

 一流の人物と接していると、恥ずかしい話を隠さないとか、人を傷つける(マイナス・ストローク)を一切しなかったり、お店のスタッフにありがとうと良く感謝を伝えたりします。


 

⑤一次情報を大切にする=一次情報の比率を高める

 情報は一次と二次に分けることができます。

 一次情報は自分の足で稼いできた情報であり自分しか持っていないものです。いろいろな汗をかかないと得られないのが特徴です。

 二次情報はだれかが収集した情報を書籍やネット等から入手した情報です。大企業のマーケティング部門の情報の大半が二次情報で占められていて、まともな施策を打ち出せなかったということは何度も経験してきました。これは個人生活でも同様で、現代は二次情報が多すぎるのです。ゆえに、こんな時代だからこそ自分の努力で汗をかいて稼いできた情報には価値があるのではないでしょうか。


 

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