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  • 津田識義

第34回 自然の価値その1

●先日、米子大瀑布(よなこだいばくふ)に行ってきました。


 4年前の台風の影響でアクセス道路が崩落し、ずっと通行止めだったので、今か今かとずっと開通を願っていたところ、2023年5月末に開通。工事関係者の方々に深く感謝をしつつ6月頭に行ってみました。


 須坂駅から細い道をしばらく上り、途中対向車と道を譲りあいながらすれ違い、根子岳登山口の駐車場に到着。スタート地点にはありがたいことに金属製ストックや天然木の杖がたくさん置いてあったので、天然木のものを1本お借りして、スタートしました。


 最初はなだらかな坂なのですが、登山道だけに徐々に斜面が急になってきて、なかなかハードです。途中2か所に熊除けの鐘が設置してありましたので、盛大に鳴らしながらふと不安に襲われました。熊除けが設置してあるということは、かなり出没するということです。そして思ったことが、今、自分に熊が突進してきたら、どうしよう!?ということです。そんなことを考える隙もなく喰いちぎられて人知れず死んでしまうのかとか、自宅で孤独死して腐乱した後発見されるよりは、自然に帰る方が迷惑にならずに良いなあとか、下の崖に巴投げ(おそらく熊は柔道の経験はないから、ワンチャンあるかも)で下の川に落とすことは可能かとか妄想がとまらなかったです。生きて自宅に戻れるのは本当にラッキーなことかもしれないとも思いました。


 さて、そんな事を考えつつさらに最後の急斜面を登っていくと目前に広がる絶景。大河ドラマ真田丸のオープニングはテレビ画面を通してですが、今目の前に広がるのは、そのままの広大な自然です。


●数百年前の修験者の気持ちに少し寄り添ってみました。苦と楽は逆の概念ではなく、楽は苦の少し横によりそう存在。

 滝に打たれてみようかと一瞬好奇心が頭をよぎりましたが、着替えをもってきていなかった事と、首が折れそうだと危機感を覚えたので、やめておきました。落差は不動滝85m、全国的に有名な華厳の滝97mと10mほどしか違いがなく、山の中に自然のままの姿であるため、大変ありがたく非日常感をたっぷり味わうことができました。


 また、自宅から斜面がとてもなだらかな根子岳を毎朝見ていると、昔地獄を味わった富士山登山にくらべれば相当楽だろうと甘く見ていたのですが、とんでもなく、往復1時間で燃え尽きました。傍観者として見ているのと、当事者として自然に飛び込むのでは世界が全く違うんだなあ。自然は偉大であり、いろいろ教えてくれるなあと改めて実感じた次第です。



●帰り道のサルの大家族

 さて車のエアコンで快適に冷やされて帰路につこうとしたところ、サルの大家族に遭遇しました。いつも高山村で遭遇するサルは車に慣れているのか、道路の真ん中にどっしり腰をおろして毛繕いをしているのですが、今回のサルたちは車に慣れていないのか、大変驚いてさっと脇道に隠れてしまいました。

 この山には、おそらく何千年前からサルがいて、熊がして、鹿がいて、狸がいて、無数の昆虫がいておそらく総数は人口をはるかに超えるものと思われます。



●2X=6 ∴X=3がわからない!

 自然と昆虫が大好きな養老孟子先生の中学の同級生に上記の方程式がどうしても理解できない友人がいたそうです。その方はのち、東京大学に入学されたので、まぎれもなく頭が良いはずなのですが、簡単な方程式がわからない。

 その方曰く、Xは記号でしょ。3は数字でしょ。記号と数字がなんでイコールなんだ?とても自然に立脚した感性だなあと小生は感心しました。方程式は概念で理解しないと正解は導きだせません。



●カエルの大合唱

 最近、暑くなってきましたので、日が沈むころを狙って、犀川(さいがわ)沿いの遊歩道を1時間ほどウォーキングすることを日課にしています。

 そうするとカエルの大合唱がサラウンドで聞こえてきます。民家も多数あります。ここにお住まいの方々は夜眠れるのかな?と他人ながら少し心配になるほどの大合唱なのです。

 そんなことを思っていると、最近都会の近郊でカエルの声で訴訟があったそうです。いわくうるさいと・・・。自然の宝庫の長野でそんな事いったらキリがないなあとか、そういえば、東京でサルがでるとニュースになるなあと改めて自然との距離間について考える事になり、今回このブログを書くきっかけになりました。


●まとめ

 概念と自然。それぞれ真逆の位置にあるのではなく、ちょっと横に寄り添うように共生しているものと考えます。概念だけですと、賢くなるかもしれませんが、実生活で支障を来すでしょうし、自然だけですと文明から取り残され、これも生き抜くことは難しいでしょう。

理想はどちらかに偏ることなく、バランスを取るか、いつでも自由に行き来できる柔軟性が必要かと思います。

 そう考えて、生まれ故郷の新宿に戻ることなく、小生は長野で毎日山を眺め、川を眺め、PCで作業をしていたりする日々を送っております。



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