9BOXアナリシスとは、マクロ環境を分析するPEST分析の4マスと、業界構造を分析する5Forces分析の5マスの合計9マスを使用したもので、事業戦略を検討している市場の本質的なリスクや戦略的な対処が必要なテーマを切り出すことができます。
【9BOXアナリシスの全体像】
●PEST分析~新興国の例~
(1)P(政治・政府)の論点
1.政府は外資の受け入れに関してどのような規制を設けているか。その規制は我々にとってどのようなリスクがあるか?
2.この国の関税は、資本投資や日本からの輸出、他国からの輸入にどのような影響をあたえるか? 製品を現地生産する場合と輸入する場合と比較して税率はどう影響するか?
3.この国の政府、メディア、国民は外資の受け入れに対して理解があるか?
4.この国で、政治的権力を持つ人物、コミュニティは何か?その人物やコミュニティは我々のビジネスにどのような影響を与えうるか?そのコミュニティとネットワークを築くことができるか?
5.司法は独立しているか?外国企業に対してもフェアに争議を裁く慣習があるか?
6.この国は、特定諸外国との自由貿易協定を結んでいるか。結んでいる場合、特定諸外国の企業が他の国の企業より、どのように優遇されるか?
(2)E(経済状況)の論点
1.この国の経済は、現在どの程度の規模、ペースで発展しているか?
経済の発展をもたらしている原動力は何か?
2.富の再分配はどのように行われているか?
階級によって経済成長の影響にどのような差があるか?
3.この国の市場において、自社にとっての機会は何か?
4.この国で、同業及び類似企業にはどのような企業がいるか?
彼らの事業規模、成長ペース、強みは何か?
5.この国で、サプライヤーから品質のよい原材料や部品を入手することはできるか?
現地サプライヤーは契約どおりに業務を遂行する慣習や法的制度があるか?
6.この国では、流通環境はどの程度発達しているか?
7.商慣習として、売掛金回収が困難なことはないか?
8.最終消費者は、日本企業に対してどのようなイメージをもっているか?
日本製品のブランド力はどの程度の影響があるか?
(3)S(社会動向)の論点
1.この国の人種、民族、宗教はどのように構成されているか。我々のビジネスにどのような影響を与えうるか
2.この国の人口、特に労働力人口は伸びているか?高齢人口比率の伸びは急激ではないか?
3.政治的、情勢的リスクはどの程度あるか。今後どのような傾向があり、我々のビジネスにどのような影響を与えうるか
4.この国の社会、消費者は、日本企業を快く受け入れてくれるか?(反日傾向はどの程度あるか)
5.多国籍企業が現地雇用をした場合、どのような制約、規制があるか?
6.労働者はどのような権利で守られているか?
労働組合はどの程度の力をもつか?
7.現地で優秀な労働力を必要量確保する手段は充実しているか?
外国企業の人材採用インフラは充分に発達しているか?
8.この国は、外国人経営者を受け入れるか
(4)T(技術開発)の論点
1.貴社の事業領域において、今後、コスト構造や付加価値を大きく変えるような技術革新が起こると想定されているか?
2.この国で、それらの技術革新はどの程度の規模、ペースで普及すると想定されているか?
3.貴社の事業領域において、この国固有でディファクトスタンダード化しているローカル技術はあるか?
4.それらの技術を貴社の技術ベースのものにスイッチすることは可能か?
5.技術はどのようなものがあるか?
6.貴社固有の技術は、どの程度の付加価値(価格)でどのような市場で受け入れられるか?
●PEST分析のまとめ方
今後どのような外部環境の変化が予想できるでしょうか?
※将来のPEST分析を実施する際、参考文献として「2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ」(ピーターディアマンディス著)をお勧めいたします。
◆次回は、5F(ファイブ・フォース分析)について解説していきます。
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