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  • 津田識義

第4回 コンピテンシーマネジメント

 コンピテンシー[Competency]とは、「高業績者の行動特性」のことをいいます。もっとわかりやすく言い換えるならば、“できる人だけが実践しているコツ・心構え“が近い表現でしょうか。

 一度、御社の属する業種のコンピテンシーモデルを入手されてみることをお勧めします。



1.コンピテンシーとは


 前回第3回の業務組織図で掲載した“コンピテンシー“についてなるべくわかりやすく解説していきます。

 コンピテンシーとは、「高業績者の行動特性」のことをいいます。もっとわかりやすく言い換えるならば、“できる人だけが実践しているコツ・心構え“が近い表現でしょうか。

 このコンピテンシーの最大の特徴は、やろうと思えばできると思うという思考は排除されるということです。実際に実践している行動特性をあぶりだす事が肝要です。

 逆に、目に見えてその行動を測定する事ができますから、わかりやすいという特徴があります。小生も人事制度を構築する場合は、このコンピテンシーを活用します。高業績者達とそうではない人達の2グループに対して、インタビューをし、それを確認するために行動を共にしてみたりして練り上げていきます。今では各種書籍やネットでも業種別のかなり細かいコンピテンシーモデルを入手することができますので、一度御社の属する業種のコンピテンシーモデルを入手されてみることをお勧めします。その他メリットとしては、そのコンピテンシーモデルを見るだけでも相当勉強になるという事です。あとはその通りにやるかやらないかだと思います。



2.コンピテンシーのビジネスでの活用


コンピテンシーのビジネスにおける活用方法とは、大枠以下の3分野かと思います。

①入社試験の選抜基準

②人事制度の評価基準

③戦略達成のためのKPI設定


それぞれ詳しくお話していきます。


①入社試験

 例えばあるメーカーの入社試験を抜本的に変えさせていただいたことがあります。なぜならペーパーテストや質疑応答では見抜けない現場力があったためです。新人たちは入社前の対策で想定問答や模擬テストで十分対策をとってきていますので、本当の動きは配属後になってみないとわからないものです。そこで提案させていただいたのが、プラモデル作りです。1時間の中でどれだけ高品質なものを作ることができるか。また、時間が余った場合はプラスαの工夫(塗装等)ができるか、わからない場合は面接官に聞くことができるのか、聞かずにいいかげんに作るのか。必要以上に慎重で進捗が遅いのか、逆に粗いのか。ペーパーテストや質疑応答では見抜けない現場に必要な力を見抜くことができます。


②人事制度の評価基準

 過去の成績優秀者を集めて、高業績を出し続ける特性を評価基準に織り込んでいきます。集大成されたノウハウ集でもありますので、評価表を見ているだけでも勉強になります。また、最大の利点は点数をつけやすいことです。極端な場合は、高業績者の行動と同じような行動をとっていれば1、とっていなければ0という2段階のスコアで点数をつけることが可能になります。


③戦略達成のためのKPI設定

 ビジョンコーチの経営人財育成コースが2年目のフォローコーチの段階になりますと、経営人財候補者に今年いかに戦うか、管轄部門の戦略を徹底的に考えていただき、その戦略をBSC(バランス・スコア・カード)に書き換え、それぞれのカードをKPIに落とし込んでいきます。BSCやKPIの詳細解説は今後順を追って丁寧にやっていきます。

 ビジョンコーチの経営人財育成コースの特徴の1つに人を育成しながら業績をあげるということがあります。それが可能なのはこのKPI設定にあるのです。30年のコンサル経験から、置かれた状況に応じて最適なKPI=コンピテンシーを提示させていただきます。当然コーチを受けている本人が納得しないものは魂が入りませんので、彼らが本気で取り組める=納得するまでアレンジしてもらいます。押し付けられたのではなく、自分が主体的に設定したという気持ちが大事です。



3.コンピテンシーをよりわかりやすく理解する


 より理解を促進するために、多くの経営者が好んでプレーするゴルフの話をいたします。小生も春以降何件がお誘いを受けている(しかも皆さんシングルプレーヤーが多い!)ので、迷惑にならないように腕を上げておこうと思い、トーナメントプロ及びプロコーチの動画をたくさん見てみました。それぞれ微妙な違いがありますがゴルフ界のプロたちが何百本の動画の中で提唱している共通項を帰納法で以下の5点に絞ってみました。

①アドレスの大事さ

②腕の力を抜く

③下半身の力でけん引する

④軸を作る

⑤ハーフスイングを大事にする


上記5点について以下若干補足をします。


①アドレスを大事にしている

・まずは、背筋を伸ばす。猫背だと体が捻転しづらい。捻転しないとヘッドスピードがあがらない。飛距離=ヘッドスピード×6。また、1球打ったらアドレスを作り直すことを推奨。


②腕の力を抜いている

・相当脱力させる。グリップもぎゅっと握らない。生卵や小鳥を握っているイメージで良いそうです。


③下半身の力でけん引している

・上記②の腕の力を抜いたうえで、腕を振るのではなく、足(特に左足)で引っ張る。腕はふられるものと考える。お勧めの練習は左手1本だけで打つ練習を推奨。


④軸を作っている

・スウェイしないようにテイクバック時右足でしっかり止める。地面から背中に棒が一本通っているイメージで、結果頭の位置がさほどぶれない。背中というのがポイントで顔の正面に軸線をイメージしてしまうと捻転が十分できない。


⑤ハーフスイングを大事にしている。

・練習場でドライバーをフルスイングで何十本も打ち込んでいる方を多く見かけますが、ショートレンジで上手くいかないものはロングレンジでも上手くいかないと彼らは言います。ドライバーもハーフスイングで100~150ヤードの狙ったところに飛ばす練習を彼らは推奨しています。


 その他バンカーショットやウッドとアイアンの違い、アプローチ、パター等興味深いコンピテンシーがありますが、それらすべてを書いていくとゴルフの教科書になってしまいますので、今回はこのくらいにしておきます。



 小生は30年近くゴルフを経営者の皆さんのお付き合いでやってきたのですが、せっかくですからこの5点のコンピテンシーに留意して、心を入れ替えて真剣に練習をしている最中です。春以降のプレーでの結果をご報告させていただきます。

 はたしてスコアは良くなっているのか。お楽しみに。





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