コンティンジェンシープランというと難しく聞こえてしまうかもしれませんが、簡単に理解できて実践で活用できるお勧めの方法は変動要素を3パターン程度に絞り込んで、その3パターン別の対応策を事前に講じておくことです。
その3パターンとは松・竹・梅の3パターンです。
・松のパターン:顧客ニーズがさらに顕在化し、業績が飛躍的に伸長するケース
・竹のパターン:来年もおおよそ今年と同様の傾向が続くケース
・梅のパターン:過去経験したことのない最悪の状況が来るケース
このように、松・竹・梅の3つの変数を設定して、事前にシミュレーションし、対応策を事前に準備しておくことをお勧めいたします。
プランニングプロセスの中で出てきた右肩上がり傾向とは、上記の3パターンのうち、松のパターンしか想定していない状況を指します。その場合、梅の状況に突入してから準備をしていたのではタイムラグが発生し、その対策を考えている間に状況がさらにずるずると悪化する事があるので、できればそれは避けたいところです。
このコンティンジェンシープランを保険に例えるならばビジネス遂行上の任意保険といえるかもしれません。
任意といいますのは、このレベルのプランを実際導入している企業が極めて少ないからです。多くの企業では松の状況しか想定していないケースが大多数です。
保険に例えたのは、加入するにはコストが発生するからです。この場合のコストとは、事前に3つのケースの対策を考えるための時間というコストがかかります。
●おすすめ5つのステップ
このコンティンジェンシープランは、誰もが経験したことのない状況を想定しているため、通常とは違う意思決定フローを構築する必要があります。
■STEP1:コンティンジェンシープラン必要性の認識と推進体制の偏せ
プラン策定開始にあたって、経営トップの明確な意思表明が必要になります。また対策の費用対効果は実際に発動してみないと正確な数値を想定することが難しい側面があるので、費用面の予算化はトップダウンで決める必要があります。
■STEP2:予備調査と基本方針の決定
自社にとってのリスクを洗い出し、それに対し評価をしていくことが肝要です。評価を実施し、緊急事態における優先順位、品質基準を明確にしておきます。
■STEP3:具体的プランの立案
この段階で最も大事なのが、緊急時における組織体制の構築です。各機能を明確にし、主担当者をリストアップします。例えば残念ながら梅のケースに陥ってしまった場合の人員整理後の実名入り組織図を準備している企業も存在しています。(CEO、CHROのみ閲覧可)
■STEP4:コンティンジェンシープランの決定
この段階で大事なことは、梅プラン発動時にキーパーソンが機敏に動けるように、説明会や研修会でこのプランを周知させておくことです
■STEP5:コンティンジェンシープランの維持管理
日頃からこのプランに対する社内認知率の向上および定期的なシミュレーションのやり直しでメンテナンスをすることが必要になります。
今回は、少し難しい話になってしまいました。
このコンティンジェンシープラン策定の基礎となる頭脳の活用方法の“条件付き思考法”については、わかりやすく解説していきます。
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